昔から働いてくれているパートさんの一人が、最近ご実家のお母さんの足が悪くなってしまって、休みが続いている。

こっちは気にしないでください、と言った手前、その穴を埋めなければならない。わたしで埋まるなら問題はないけれど。

「分身できれば……」
「分身」
「検品、包装、配送、事務やらで……」

振り向く。人がいて驚いた。

「おはよう、ございます」

昨日別れてから十二時間も経っていない。

「おはよう、早いな」

絹笠さんはそう言いながら、開いた店の方を見る。

「これから出勤ですか?」
「ああ。気になって、通ってみた」