わたしより少し年上で、昔からここに勤めている。アイロン職人。
受け継ぐってすごいな、と思う。
「あ、そうだ」
富士さんが店の外へと顔を出す。
「羽巣さん。昨日の閉店間際にバイト応募きてたよ」
「フリーターさん?」
「いや、大学生」
学生さんかあ……と声には出さないが、思ってしまった。
「ありがとう。後で折り返します」
店先を掃きながら考える。
勿論、若い子は大歓迎だ。うちは老舗クリーニング屋だけれど、様々な人の支えで成り立っている。
大竹さんも昔からここで働いてくれていて、わたしより常連さんに詳しい。