高嶺の言葉に、もう高嶺から離れられるのだと未来は心の中で喜ぶ。何事もなかったかのように部屋に戻ろう、そう未来が思った刹那、ガラリと音を立てて窓口のガラスが開いた。未来が上を見れば、狩りをする猛獣のように目をギラつかせた高嶺が未来を見下ろしたいる。

「こんな時間まで起きているなんて、悪い子ですね?病気のせいですか?」

「あっ、ごめんなさい!」

未来は泣きそうになりながら走り出すも、後を追ってきた高嶺に追いつかれ、首に衝撃が走る。刹那、未来の視界が真っ暗になった。



未来は首に走る痛みで目を覚ました。目の前にあった天井は、病院のものとは全く違うものだ。

「……ここはどこ?」

未来が体を起こすと、そこは都内にある高層マンションのようだった。窓からは街が見渡すことができ、病室の景色より眺めが良い。

未来が寝かされているベッドは、病院のものより柔らかいもので、高級なベッドなのだとわかる。家具は一見するとシンプルなのだが、ヨーロッパのブランド品のものだ。