「んっ……」

未来が目を覚ますと、まだカーテンの隙間から見える空は黒く、時計を見るとまだ夜中の二時を過ぎた頃だった。

「……まだ朝までだいぶあるじゃん」

目を閉じ、再び眠ろうと試みたものの、全く眠れそうにない。仕方なく未来は水を飲もうとしたものの、昼間に買ったペットボトルの水はもうなくなっていた。

「サロンで買ってくるか」

サロン室には、患者や患者の家族が飲み物を買うための自販機がある。品数は一階にある売店より少ないものの、水はあったはずだ。未来はゆっくりとベッドから起き上がり、財布を手に真っ暗な廊下に出る。

夜中に廊下を歩くなど初めてで、未来は肝試しをしているような気持ちになってしまう。昼間と夜間では、病院はかなり印象が変わってくる。未来の頭に、この前病室で見た心霊特集番組が蘇り、ブルリと寒気が体に走る。

(夜の病院ってすごく不気味……。早く水を買って、早く部屋に戻ろう……)