わたしが現れるとシーンと静まり返った。

「みんな、おはよう?」


そういつものように挨拶をするといつもの反応が返ってくる。

反応が返ってくる、というより誰も何も返してくれない。



やっぱりわたし、嫌われてるのかな…



そう思って俯くと律くんが
「おはよう、麗。

顔あげてごらん?」


いつものように挨拶を返してくれて、
それから、笑いかけてくれた。



「橘さん、早く戻ってきてね?」

「そーだよ、わたしたちまだこの前一緒に探してくれた定期のお返ししてないから!」

いつも真っ先に挨拶を返してくれる隣のクラスの金山くんと、市川さんたち。


「コスプレ喫茶の衣装完成したから早く着てほしいんだよ」

それから同じクラスの水野くんも。



「麗さんがいないとこの学校寂しいです!」
1年生の後輩たちも、

「俺らにとっては麗が癒しなんだよ」
3年生の先輩たちも。


みんなが待ってくれている。


「みんな………ありがとう…!

わたし、ちゃんと戻ってくるから
みんな待っててね、?」


そう言うと翼のメンバーたち同様、みんな顔を赤らめて手で顔を仰ぎ始めた。

男の子も、女の子も、先生も、読んで字の如く、そこにいるみんな。



「やっぱりみんな風邪…?」
そう首を傾げるとやっぱり隣にいる律くんが呆れたように繰り返す。



「鈍感」


な、なんで?!?!

聞き返そうとした瞬間、強い風が吹いて
繋いでいた手が離れ離れになる。



「麗が、_______だよ」