「えっと……いつから?」



驚いて,照れることも怒ることも出来ない千夏。

それを分かって,私もいつもと変わらない調子で答えた。



「どこからって言うと,ちょっと難しいけど。千夏が私に1番聞かれたくなかったとこは,多分全部聞いてたよ」

「あーー,まじか……やっぱり」



どうしてもっと怒らないの。

どうして怒って,責めてくれないの。

私はあんなところに1人で隠れて,全部全部聞いていたのに。



「ごめん」



謝られたのは,何故か私の方。

千夏? 

何がごめんなの? 

ごめんなのは全部,好きになった頃から私の方なのに……

つい絶句しているうちに,千夏は続けた。



「いなくなったからって,探しに来てくれたんだよな。昼飯だって,真理が言ってた」

「あー,うん,えっと……そう……うん」

「……俺は,俺は確かに真理が好きだけど。たった今,フラれちゃったけど……真香達の仲まで壊す気は,ないから」



たった今フラれたばかりの千夏は,今,何の話をしているんだろう。

理解できなくて,私の頭は真っ白で。

なのに適当な相づちは打てるものだから,私は空気も読まず,それをとても不思議に思った。