戦略的に設計された道,昔の人々の痕跡。

森くんなんかはきょろきょろとしてばかりだけど,お話はとても面白かった。

私達はポスターに詳細も載せるため,メモを取り聞く。

私はたまたま見えた水上さんの字が,線がないにも関わらず真っ直ぐ綺麗でつい見入ってしまった。

視線が肌に刺さったのか,水上は無防備な表情で顔を上げる。

あ。

と思ったのと同時,バチリと目があった。

水上さんも私と同じ表情になって,私は緊張しながらも微笑みを向ける。

眉を寄せた水上さんはそれ以上の反応を見せずに,ふいっと顔を逸らしてしまった。

やっぱり,仲良く……は,なれない,かな。

また,場所を移動する。

動き始めた途端,水上さんは私から逃げるように真香さんの隣に向かった。

水上さんと真香さんはもう仲違いしてないみたいで。

だけど私はと言えば。

避けられてる……

それどころか,あのお昼休みから私の印象は最悪で。

嫌われてるんだろうなと思う。

あんな風に,分かりやすく態度に出されてしまうと,やっぱり私も胸にくるものがあって。

せめて1度,声をかけてみようかな。

検討するも,それも全て検討に終わる。

悪い人じゃないのは分かってるのに,これ以上嫌われたくないと思ってしまうから。

上げた手は,軽いグーの形になって。

いつの間にか下がった眉と,軽く開いた口。

目線まで下がって,初めて諦めて笑う。