「なんでそんなに優しいの?」
彼女の丸くて大きな目を見て思う。
きっとこんな風に鎧を脱げるのは俺にだけなのかもしれない。
小学校の頃からなんとなく知っていた彼女の本当の顔を見ている気がして、もっと傷つけてほしい、なんて思ってしまう。
ずっと1人でいた俺は、こんな風に感情を晒すような人も、話すような相手も、わがままを言ってくれるような相手もいなかった。
傍若無人な態度は俺を求めてくれているのではと思ってしまう。だから彼女が荒れるたびに、もっと荒れてほしいとつい意地悪な心が覗かせる。
泣き喚いて、怒って、傷つけようとして傷ついた顔をする彼女を見たい。もっと晒して、誰にも見せないような姿を見せて俺を悦ばせて。
俺は彼女を抱きしめて「なんでだろうね」と呟いた。