休日の明けの月曜日もいつものように公園で帰ってくるのを待っても、一向に来ない。いくら傍若無人と言っても、公園に来なかった日はない。無事ならそれでいいのだけど。


 5時を過ぎても来なかったので、家に戻るついでに彼女の家に向かうことにした。ドアを開けると、部屋は薄暗く、うっすらとアルコールの匂いがしている。

 部屋の暗さと、匂いに言いようのない不安が募る。家の部屋を次々と開けていく。リビングをのドアを開け、隅の方に彼女が横たわっていた。
 彼女の名前を呼び肩を軽く叩く。口に耳を近づけると息はしている。もう一度、そっと名前を呼ぶと長い睫毛が揺れ目が開いた。

 「ろうしたの?」

呂律の回っていない彼女の口から、ほのかにアルコールの匂いがした。あたりを見回すと彼女の歩いた動線のようにそこら辺にチューハイの缶が転がっている。

「どうしたの?じゃなくて、なんで酒飲んでんの?まだ未成年じゃん」

「いいだろ、べつに。おまえには、かんけいないだろ」

どこまでも舌足らずの言葉で、真っ直ぐに傷つけようとしてくる。

「何で飲んだの?」

「うるさい!!」

ゆらゆらと力なく殴る彼女の手首を掴み、その違和感に手首を見た。

「これ何?」

「うるさい!」

「何かあったら俺に連絡してっていつも言ってるじゃん」

「…っ、うるさい」

もううるさいとしか言わなくなった彼女は、どこまでも不器用で、どこまでも脆い。

彼女の体を温めるように、抱きしめて「大丈夫」と言う。
頭をポンポンと撫でで、背中を摩りながら「大丈夫」と言う。

目に涙をいっぱいに溜めて、「あたりなんて嫌だ…」と静かに呟いた。何も言えなくて、体を摩って温めることしかできない俺はまだ未成年で子供だ。

「大丈夫」

「うそつき!いなくなるくせに!!」

「そばにいるよ」