社会人2年目に突入し、一年を通しての仕事の流れもわかった。今は下っ端で自分の意思関係なく1番の激務に回されてるけど、ここを乗り切って耐えれば、近い未来には比較的好きな企画に携われる。


それを支えに凄く手間のかかる案件を無我夢中でやり、ついに終わりを迎え残処理をしていた。


そんな矢先、ハナから電話があった。
メールはちょこちょこ来てたけど
この1ヶ月ハナの生の声を聞いてない。


素直になれない俺は、世界1好きな彼女なのに
嫌味ばかり出てしまう。他の人にはもっと気の利いた事言えるのに、ハナにはなぜか言えない。


きっとそれは幼なじみでもあるからだと思う。
ハナはワガママで最低な俺でも受け入れてくれるから。


残業中だったけど、なんだかんだと声が聞きたい気持ちが上だったんだろう、勤務時間外だったから電話に出たけど、突き放してすぐ切った。


考えちゃうと仕事終わらないし


会社から出た後、折り返しかけたら
歓送迎会中で。


ハナの会社は化粧品のメーカー
超大手ではないけど、誰もが一度は聞いた事あるくらいには有名な企業。


美容部門なだけあって、男女共にそこそこの容姿がないと採用されない。もちろんハナはそんな事実を知らない。単純にそこの化粧品が好きで就職した。


俺はハナが受けた企業の情報は
あらゆる情報網を使ってハナよりも詳しい。


内定した時に秘書の免許取って秘書にならないか?と人事に言われてたけど、当初の予定通り経理課を希望した。結果的に経理課は完全社内勤務であまり人目に付かない部署だと聞いてホッとしてた。


のに…


男ばかりの営業課と親睦を深めるために
合同で歓送迎会だって?


ここで知り合って
結婚するカップルも多いとか…


ふざけんなよ、ただの合コンじゃんか💢


ちなみにこの情報は俺の会社の先輩からの情報でハナは出会いの場とか知らない。
先輩の大学の同期がハナと同じ会社の営業にいるとか。


元々、厳しい容姿の選考をクリアして入社してきてるから他所で出会いの場を探すよりイイんだとさ、別に俺に関わらなければいくらでもそういう事してればいいと思う。


ただ、そんなとこにハナを放ったら大変な事になる。アイツは激レアのポケモンみたいなもんだ。しかも、愛想がイイから手に入りそうな予感さえする。


ああー、考えたくねぇ…


何がなんでも行かせるわけには行かない!
決死の仮病を使って行かせなかった。昨年は…


俺とした事が!!
忙しくて頭回ってなかったけど
毎年この時期にあるよな。


俺の会社だってあるしな。


ただ何も知らないハナは、これも仕事のうちだと考えてて、俺が嫌々行く歓迎会と同じだと思ってるわけで…
確かに表向きは仕事の交流会なわけで間違いじゃない。でもさ、そんな裏設定聞かされて
ハイそうですか、楽しんで来いよ!
なんて口が裂けても言えない。


俺だってハナがもう少し自覚があれば
細かい事は言いたくない。
でもさ、残念ながらハナはミヤって子とは違うんだよ。