吊り革に掴まり、小声で言い合う。

結局私は雷夜の後を追って、中央車両に乗り込んだ。



「頭おかしくなったのかと思って心配で」

「はぁ? なんだよ失礼だな。保護者かよ」

「っ……だって、ここ電車のど真ん中よ? 気になるに決まってるじゃない」



そう返して周囲に目を向ける。


左隣には雷夜、右隣にはスーツ姿のおじさん。

目の前には、スマホをいじったり腕を組んで寝ている人達が横並びに座っている。

既に座席は満員。吊り革はまだ空きがあるけれど、次の駅で全て埋まるだろう。


1人で通学したいなら、隣のドアから乗ったり、2番目の車両に移動することだってできたはずなのに……。


説明すると、ふふっと笑い声が聞こえてきて。



「なーんだ、俺と離れたくなくて着いてきたのかと思った」

「なっ……なわけないでしょ!」



左肘で雷夜の脇腹を強く突いた。


違う、離れたくなかったわけじゃなくて、1人になるのが心細かっただけ。昨日あんなことあったし。

意地悪でも、一緒にいるほうが安心。調子に乗りそうだから絶対言わないけどね。