それでも明宏はやり遂げた。


その強さに佳奈も涙が出そうだった。


そうしている間に気がつけば三福寺へ登る石段の前まで来ていた。


ここまで全力で走ってきて呼吸が乱れ、汗を吸った服が重たくなっている。


けれどそれにかまっている暇もなく、4人は石段を登り始めた。


この先に地蔵を止めるための武器が隠されている。


それだけを念頭に置いて1段1段を踏みしめる。


廃墟となった寺の石段はもろく、踏みしめたときに石が剥がれ落ちて落下していくこともあった。


下手をすれば下まで転がって落ちてしまいそうな危うさの中、どうにか上まで登り切る。


そこにそびえ立っている寺を見た瞬間佳奈は全身に寒気を感じた。


ここには地蔵も化け物の姿も見えない。


それに今は昼間で太陽光が差し込んできている。