それでもどうにか両足を前に出して進む。


時々前方から出現する化け物たちを銃で倒しながら進んでいくと、曲がり角から灰色の人間が姿を見せた。


それが視界に入った瞬間佳奈は反射的に足を止めていた。


全身灰色の人間は地蔵で間違いない。


その顔は……美樹だったのだ。


美樹の目は他の地蔵たちと同じうつろで、こちらを見ているのか見ていないのか判然としない。


そんな目をした美樹がユラリとこちらへ体を向けた。


明宏が息を飲むのが聞こえてきた。


「明宏、他の道を探そう」


三福寺へ向かう道はここが一番の近道だったが、この場合は仕方がない。


しかし明宏は佳奈の言葉が聞こえていないかのようにその場に立ち尽くしていた。


地蔵はジリジリとこちらへ近づいてきている。