そしてカバンからある一冊のファイルを取り出したのだ。


それは図書館での貸し出し禁止ファイルっだった。


自分たちの歴史をもっと深く知るために、実里は自分なりに調べ物を続けてきたのだ。


『この資料によれば、当時の儀式に関わった人はみんな死んでるの。だけど私達の夢にはまだ彼らが出てくる。この街全体を壊滅させることが狙いなんじゃないかな』


それからも悪夢は続いた。


高校に入学して以来、しっかりと眠れた日は数えるほどにしかなかった。


そしてそれはイケニエたちの復活が近いことを意味していたのだ。


『お前たちも街人に恨みがあるだろう。我々の力になれ』


夢の中で首のない子どもたちは、まるで老人のような声でそう誘いかけてきた。


その声を聞くと、この街に生まれてからずっと差別されてきたことをまざまざと思い出し、苦しみや悲しみを追い越すような強い怒りを感じるようになった。


イケニエたちに踊らされている。


そう理解していても、自分たちの力ではどうすることもできなくなった。


そしてあの日。


誰かが『肝試しに行こう』と誘ってきた日。