首取りの仕事はとても誇れるものではなかった。


人々からは蔑まれ、後ろ指をさされることもあったそうだ。


けれども先祖は首取りをやめることはなかった。


首取りをしている者とその家族はイケニエを免除されるという、大きな特権があったからだ。


しかしそれは街人たちからすれば余計に軽蔑すべきものだった。


他人を殺すことで自分たちは生き残ろうとしている。


そのように見えても仕方のないことだし、実際にそうだった。


誰でも自分の身が可愛いはずだけれど、それを理解してくれる人はなかなか現れなかった。


そしてそれは現代でも同じだった。


亮一の先祖が首取りだったと知った時、態度を変えた友人は何人もいた。


イケニエの儀式自体が葬られてしまったこの街で、差別だけは根強く生き残ってしまったのだ。


そして亮一はその差別に苦しめられることになる。


この街にいる間中ずっとだ。