「イケニエにされた連中は街の全員を殺して回る。そうしないと、安らかな眠りに付けないからだ」


亮一が目を閉じてそう言った。


その様子はまるで、人々の悲鳴を音楽代わりにして眠ろうとしているようにも見えた。


大輔はそんな亮一の頬を叩いた。


パンッ! と乾いた音が響いて、亮一が顔をしかめながら目を開ける。


「まだ話は終わっちゃいない。勝手に死ぬな」


亮一はそんな大輔を見てヘラリと笑ってみせた。


「地蔵の頭は集まった。これ以上なにを聞きたいんだよ?」


「なにもかもだ、お前らが知っていること、経験してきたことを全部話せ」


きっとその中にまだ自分たちの知らないなにかが隠されている。


そしてそれは、地蔵の首になった友人たちを助けるヒントになるかもしれない。


「経験してきたことねぇ……」


亮一はまた目を閉じる。


そして、ゆっくりと語り始めたのだった。