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智子と亮一のケガは重症だった。


何度も刃物で切られたようで、智子の足からは骨が見えている。


短距離でもよく走ってこられたなと関心するほどだ。


亮一の方も負けず劣らずで、深い切り傷が多く、服は真っ赤にそまっていた。


4人は2人を狭い路地へと連れて行き、そこに座らさせた。


「お前ら、本当にこんことを望んだのかよ」


大輔が2人を見下ろして聞いた。


街の壊滅なんて聞くと、単純に街がなくなる様子を連想する。


だけどこれはそんなもんじゃない。


地獄絵図だ。


人々は逃げ惑い、地蔵や化け物に捕まっては殺される。


街の中にはどこにも逃げ道がなく、警察などもほぼ無意味な存在になっている。


「当たり前でしょ」


智子は生き絶え絶えに言った。


こんな状況になってもまだ強がりを通すつもりらしい。