フランソワーズと出会って、ルイは希望を再び手にすることができた。幸せを感じることができるようになった。その幸せや希望を、もう二度と離したくなくないとルイは思い、決意する。

交際を始めてもうすぐ十年ほどになる。季節は、二人が初めて出会った春になろうとしていて、あの公園の桜はもうすぐ花を咲かせようとしている。

穏やかな休日の午後、ルイは散歩にフランソワーズを誘い、あの公園へとやって来た。公園に近づくたびに、心臓の音がうるさくなる。

「ねえ、フランソワーズ」

顔を赤らめながら、ルイは隣にいるフランソワーズを見つめる。これから、人生で一度しか言わない台詞を口にするのだ。心臓が飛び出してしまいそうなほど、緊張している。

「何?そんなに固くなって」

フランソワーズに微笑まれ、ルイは大きく深呼吸を繰り返す。きちんと伝えなくてはならないのだ。二人で幸せになりたいのだから……。

「僕はね、君と出会うためにきっと生まれてきたんだと思う。そう思えるほど、フランソワーズと出会って人生が変わったんだ」