優しく、そして自立した大人の女性であるフランソワーズにルイは心惹かれていき、気が付けばフランソワーズと恋人と呼べる関係になっていた。
ルイとフランソワーズの恋は、ドラマや映画のようなロマン溢れるものではなく、ごく普通のものだ。特別なストーリーがあるわけではない。だが、フランソワーズのそばにいるルイは、少しずつ想いを温めていく。
「フランソワーズ、どうかな?」
初めて手料理を振る舞った時、フランソワーズの大好物だというラタトゥーユを作った。初めてレストランで料理を作った時より、ルイは緊張しており、「恋人に料理を作るのにどうしてそこまで緊張するのよ」とフランソワーズに笑われてしまう。
そして、「おいしい!私が作ったより、どんなお店のものより、すごくおいしい!」とフランソワーズが笑った時、ルイの心は幸せに満ち溢れ、嬉しさ一色に染まっていく。
初めてデートをした時、初めてフランソワーズに触れた時、同棲を始めた時、喧嘩をして仲直りをした時、どれもありきたりな話だ。だが、ルイにとってはどれもが大切な思い出であり、温かい愛で溢れている。