「昨日のこと、夢じゃないんだね。僕は世界一幸せだよ」

フランソワーズの薬指の指輪を見て、ルイは昨日のことを思い出して呟く。すると、「これからもっと幸せになるんでしょ」と言いながらフランソワーズがベッドから起き上がる。

「あなたが世界一幸せな男にならなきゃ許さない。だけど、私を世界一幸せな女にしなくても許さないから」

ウインクをされ、ルイの胸がドキッと音を立てる。ドキドキと高鳴っていく心を沈めようと必死になるが、幸せで満たされた心では冷静になることは難しい。

「自分が思ってる以上に好きなんだなぁ……」

赤い顔で呟いた後、クローゼットからシャツとパンツを取り出して着替える。ルイのクローゼットの中にある服は全て、フランソワーズにプレゼントしてもらったものだ。彼女はファッションデザイナーをしているため、とてもセンスがいい。

二人で椅子に座り、紅茶と朝ご飯を楽しむ。そして皿洗いを済ませた後、ルイは仕事に行くためにかばんを手にした。

「行って来るね」

ルイが手を振ると、フランソワーズは「行ってらっしゃい!」と言いながらピースサインをする。見送る時にピースサインをするのが、彼女のマイブームらしい。