最高の幸せと喜びに満ち溢れた夜、二人がパリの街を歩きながら、ルイ・シヴィルは恋人のフランソワーズ・ボードレールの手を優しく握る。そして、彼女の薬指に嵌められた指輪の感触に、先ほどの出来事が決して夢ではないのだと改めて思い、ホッとした。

そんな夜は、一緒にベッドに入った後、彼女の寝顔を見て幸せに浸りながら眠りたいと思っていた。だが、「おやすみなさい」と互いに言い、フランソワーズが部屋の電気を消した後、緊張の糸が切れたせいか、ルイは数秒もしないうちに意識が暗闇に包まれていた。

「おはよう、ぐっすり寝てたわね」

朝になってルイが目を覚ますと、フランソワーズに抱き締められ、頭を撫でられている。まるで母親が幼い子どもをあやしているような光景だが、ルイはそれが嫌ではなかった。フランソワーズの白い頬をそっと撫で、「おはよう」と言う。

どちらからともなく、唇が重なる。一度触れた唇は互いに離れたくないと言わんばかりに何度も触れ合い、ようやく離れた頃には互いに息が上がっていた。そして、微笑み合う。