最期の半年と決めたからなのか、十六年間、ダラダラと生きてきた時間は長く感じるのに、二学期はあっという間に過ぎて言った。

十二月二十四日。クリスマスイブ。
二学期の終業式。

十二月に入った頃から、街のあちこちではクリスマスソングが流れ始めて、夜になるとイルミネーションが瞬き始めた。

終業式が終わって、クラスに戻ったら担任から二学期の通知表が配られる。
私も深春も、国語と副教科以外の、基本の四教科は絶望的な成績だった。

「一応さ、三学期の終わりまでは通うわけだし、三学期は真面目にテスト受けようね。」

「うん。落第なんて不名誉、墓場まで持っていきたくないもんね。」

自分達のブラックジョークに笑い合って、私達は鞄を取った。
周りのクラスメイトは、この後集まってパーティーしようとか、明日は彼氏とデートだとか、浮き足立っている。

私達は、誰よりも早く教室を出た。
出る前に、ドアの近くに居た女子が、私達に「じゃあね。」って言った。

「バイバイ。」

私が言って、深春が手を振って、教室を出ようとした時だった。

「ねぇ。」

意外にも、言葉を続ける女子に、私も深春も驚いて、顔を見合わせた。

「なぁに?」

深春が言う。
女子は一瞬、言おうとしたことを戸惑ってか、俯いて黙ってしまったけれど、顔を上げて、私の目をしっかり見て言った。

「二人って、付き合ってるの?」

思ってもいなかった質問に、私も深春もフリーズしてしまった。
女子は、私達から目を逸らさない。
何で突然、そんなことを聞いてきたのか分からない。

今まで私達のことが噂になったことも無いと思うし、この子とそんなに親しく話したこともない。
それでも、自分達のことで他人に嘘をつくのはもうやめた。

「うん。そうだよ。」

一回、深呼吸をしてから、深春がにっこり微笑んで言った。
私はゆっくり深春のほうを見てから、女子を見た。

女子は私と深春を見てから、自分から聞いたくせに、急に興味を無くしたみたいに、「ふーん。」って言った。

「いいんじゃない?私にはよく分かんないけど。」

私と深春はもう一度じゃあねって言って、今度こそ教室を出た。

「こんなもんだよね。」って笑い合って、手を繋いで階段を駆け降りた。