クロコには言葉にすることに抵抗があった。言葉にしたらもっと好きになる。そして、のめり込んでしまう。
恋愛にどっぷり浸かることが怖かった。
それでも健気なクロコは時々は「好き。」と蚊の鳴くような声で呟いた。

アツシといるとなぜだか心が熱くて、でも安らいで、せわしなく動く自分の感情に戸惑いを覚えた。
クロコが一番好きな時間はアツシと手をつないで歩くときだった。
子供のようにアツシの指を掴んで離さなかった。
アツシはそんなクロコが可愛くて、でも男なら誰もが抱く感情を抑えられず、クロコを自分色に染めたいと考え始めていた。

アツシはクロコにミニスカートを履いてほしいと口にするようになった。
それまでクロコは短いスカートは履かなかったし、どちらかというとパンツスタイルが多かった。
クロコにはトラウマがあったからだ。