クロコ

アツシはクロコが年のわりにしっかりしてることに驚いた。それと同時にそんな健気なクロコを愛しいと思っていた。

クロコはアツシのことを好きになっていく自分が好きだった。アツシならきっと私を大事にしてくれると、信じられた。
でもこの時、二人共傷付く恋を経験したあとだったためにお互いに言い出せずに時間だけが過ぎて行った。

クロコとアツシはお互いをなくてはならない存在だとわかっていた。だからこそ、出掛けるときには必ず一緒で、周りの友達は当然ながら二人は付き合っていると思っていた。
しかし、二人は告白も恋人同士の行為もなく、長いことプラトニックな関係でいた。
クロコは怖かった。アツシが本当に私を好きだと言ったわけではない。
拒絶され、この何とも言えない心地よい時間を失うのを恐れていた。
アツシはアツシで、どうしたらクロコにこの気持ちを伝えられるかわからずに苛立っていた。