アツシとクロコには愛するものがあった。1つはアツシの愛車の60年代キャデラック。アツシと洗車に行ったときのことが思い出される。
アツシはやっぱり言っていた。
「洗車手伝ってくれる女がいるとは思わなかった。」と。

クロコはアツシの愛車が大好きだったからピカピカになるように自分の手を真っ黒にしながら磨いた。

もう一つは映画。アツシとクロコはよく映画を見た。レンタルにもよく行って、あれがいいこれがいいと二人の意見を述べて、見終わるとここが良かった、あそこはこうのほうがカッコイイなどと話し合った。

二人にとって一緒にいる時間は宝物の蓋を開けているのと同じだった。

当たり前の時間を素敵な時間に作り替えていく作業が、二人の愛を表していた。
アツシの誕生日に、クロコは手作りのアクセサリーをプレゼントした。手のこんだデザイン、他にはない一点物、アツシは喜んだ。身に着けてくれるとクロコも自然と笑顔になった。