「――ぇ、ねえ、名前なんて言うの?」
「っ!?」
―ガタガタガタッ
突然後ろから声が聞こえて振り向こうとするも、予期していなかった状況に体が上手く対応せず、またしても大きな音を立てて振り向いてしまった。
幸いザワザワとしている教室内で、私が立てた音が響き渡ることはなく、目立つことは避けられたが、話しかけてくれた女の子達はやはり驚いた顔をしていた。
「えっと、あ、…」
必死に声を出そうとするも頭が真っ白で上手く言葉が出てこない。
女の子たちにじっと見つめられ、また意思とは反対に涙が出そうになってくる。
名前を言うだけ、それだけのことなのに。
なんで私はこんな事も出来ないのだろう
か。
「あーえっと、なんか、ごめんねっ」
私が脳をグルグルと空回りさせているうちに、女の子たちは申し訳なさそうな顔をして去って行ってしまった。