無言でいたら、「嫌ならもうしない」と少し落ち込んだ様子で私から離れた。


向けられた背中が寂しそうで。


こんな天馬くんは初めて見る。


「い、嫌じゃないよ!」


ドサッ!


肩を掴もうとしたら天馬くんがいきなり振り向いてきたから、今度は私が勢いよく押し倒すはめに。


なんでこうなっちゃうのー!


天馬くんも驚いてたけどすぐに笑顔になる。


「意外に積極的?」


「ち、ちがっ……」


その時、ふと思い出した。


こんなこと……前にもあった。


私が上になって……。


でも男の人を押し倒したのはこれが初めてなのに。


なんだろう、あれは誰だったんだろう。


「どかねーってことはちひろもその気?」


「え!違うって!今考え事してて……」


「この状況で考え事する余裕あんだー」


腕を引っ張られ、天馬くんの胸に倒れこんでしまった。