「未成年から見たらおっさんは立派なおっさんなんだよ」
「へー、へー。若いって良いですねぇ」
おっさんの恨みたらたらな発言を聞きつつ少しばなり気分が良くなった私はアイスを一口齧る。
安っぽくて甘いソーダの味が口に広がった。
「…… なぁお嬢ちゃん、毎回そのアイス食べてるけど旨いの?」
突然、どうした藪から棒に。
私はもう一口齧ろうと咥えたアイスを口から引き抜く。
「そんなに歳の話はしたくないか。おっさん」
「いや、つい気になって―― って歳の話はもうやめやめ!」
「そんなに若く見られたいんなら最低限その髭剃れよ」
「それは駄目!おっさんこの髭なくなったら貫禄もアイデンティティーもゼロになっちゃうから駄目です」
「貫禄とアイデンティティーって……」
貫禄は髭があろうがなかろうが、おっさんにはもとからないのでは。