「なぁ、お嬢ちゃん」



「あっ?」



おっさんの声が飛び込んできた。



「近日中にここのアパートが壊されるって知ってた?」



「知ってけど、いきなりなんだ?」



「くぁー、そうか。お嬢ちゃんも知ってたか」



私の答えにおっさんは苦々しい顔で頭を抱える。



「なんだよおっさん知らなかったのか?」



「知らなかった」



…… 本当にこのおっさんは。



その答えに思わず呆れてしまう。