◇Side YURA



光莉:家に帰ります。だから由良くん、戻ってきて


届いたメッセージを読み返して、俺はまた部屋に視線を送る。


帰ってきた家はさっぱりしていた。

光莉の物がなくなっていて、残ったのは布団一式と買い足したキッチン雑貨くらい。


すべてが元通りというわけではないが、光莉の痕跡はなくなった。

ちゃんと消していってくれた。


……救急箱を除いては、だけど。


あんな酷いことをして、きつい言葉をたくさん言って傷つけたのに、最後に心配を形に残して行った。


あいつは、俺を嫌ってくれない。

いっそ恨んでくれたら、どんなに楽だったか……。



この関係がずっと続くとは思っていなかった。


いつか手放さなければいけない。

面倒を見るのはそのときまで。