電車を降りて向かうのは、自分の家ではなく由良くんの家。


空は、星を乗せ始めている。


今、由良くんが家にいるかどうかわからない。

いないなら待つか、また出直す。


こうしたい、こうしようと決めたことは、考えるより行動した方がいい。

決意は、持ったその瞬間が1番己を奮い立たせてくれる。



古い象牙色の壁、新しい赤褐色の階段。


懐かしさを感じるアパートの2階の一室。

電気が点いていた。


由良くん、いるみたい。


起きてるかな?

由良くんは電気を点けたまま寝ることもあるから……。


行こう。


会って、鍵を返して。

言わなきゃ。