喜びをその顔に目一杯浮かべる柊哉くんと、怪訝な表情で低い声を漏らす由良くん。

両者、どう考えたって初めて会ったとは思えない反応で……。


怒りとも困惑とも取れない由良くんのそんな表情を見たのは初めてだった。

動揺、だろうか。



「帰る」


由良くんは踵を返した。


「え、由良くん?」

「由良さん!」


逃げるように去っていった。


あまりに突然の出来事に、私はただ茫然と立ち尽くすしかなくて。

そして、柊哉くんも。


由良くんを追いかけようとしたけど、私の横で立ち止まった。


「やっぱりダメだったか……」

「2人とも、一旦座ろう」


ただ1人、冷静な澄ちゃんだけが場をなだめてくれる。


柊哉くんが大きな声を出したために視線を集めていた私たちは、慌てて席に着いた。