「………」

「な、何?」

「俺、初めて見たかも。佐倉さんが笑うの」

「え……。そ、そう?」

「うん。てか会話になったのも初めてかも」


なんて口にして、岩瀬は私に視線を定める。



「なっ、何よ……」

「別《べっつ 》にー」


男子と目を合わせるなんて慣れてないから、戸惑いを隠せなくてうろたえてしまう。
岩瀬は私の頭を優しく叩いて、挙げ句のはてに髪の毛までいじりだした。



「サラサラだね」


なんて言って、いつものニヤリ笑いを見せた。



最悪……。


この男、絶対に軽い。
一瞬でも共感してしまった自分が馬鹿みたい。

でも、男の子に慣れていない私は岩瀬の手も払えないし、文句を言う事も出来ない。


それに、嬉しかった……。
他にも、自分と同じ目線で、高根くんを見ている人がいる事が。