「お待たせ」
 「大丈夫だよ」
 「それじゃ、ひとまず花火見る場所取りしにいく?」
 「了解」
 とりあえず、一旦は好きなものを全員が買えたということで花火を見るのに最適な河原に向かうことになる。
 談笑しながら、みんなで迷子にならないよう集団で歩く。
 それにしても、私を除いた全員が美男美女だよなぁ・・・。
 実際、周りを歩く人達の視線が自然と集まってくるのを感じる。
 「あの人たち、みんな美男美女じゃない?」
 「うんうん、顔面偏差値の暴力すぎる」
 「女子も男子も、レベルたっか・・・」
 「なんだか、住む世界が違いすぎるって感じだよね・・・」
 ひそひそと話しながら、こちらを見てくる人もちらほら。
 話している内容はよく聞こえないけど。
 きっと『なんであのグループにちんちくりんが一人混ざっているんだ』とか、『場違いすぎるよね』とか言われてるんだろうな・・・。
 私もそう思います。
 いや、ちんちくりんはさすがに言い過ぎ?
 「拝んどこ!もしかしたら、何かのご利益で私たちも可愛くなれるかも!」
 「あなたたちみたいに、顔が良くなりますよーに!」
 「垢抜けれますよーに!」
 「彼女くれ!」
 「リア充になれますよーに!」
 ついに、手を合わせる人も出てきた。
 きっと、『あんな地味子を連れて行くことになってしまってご愁傷様です』って意味が込められてるんだと思う。
 ああ、消えてしまいたい。
 「絢花。アンタ可愛いんだからもう少し自信持ちなさいよ!」
 「え?」
 「ほら、胸張って!姿勢が綺麗だとそれだけで美しく見えるよ!」
 私の心を読んだのか、隣を歩いていた里穂が励ましてくれる。
 里穂、優しいなあ・・・。
 気を遣って、お世辞を言ってくれるなんて。
 私が可愛いわけないし一瞬で可愛くなれるわけもないけど、姿勢くらいなら実践できるかも!
 里穂のアドバイス通り、胸を張って背筋を伸ばしてみる。
 それを見て、里穂は満足そうに笑った。
 そうこうしているうちに、目当ての河川敷に到着。
 さっきよりも地面に敷かれたレジャーシートの枚数や座り込んでいる人の数は多くなっている。
 花火は、7時30分から。
 始まるまでまだ時間があるのにこんなに場所取りをしているなんて、それだけ大きなお祭りだったんだな。
 諒太さんが持ってきてくれていた、六人全員が座れるだけの広さがあるレジャーシートを地面に広げる。