なんか、照れるな・・・。
 今まで、里穂以外に友達がいなかったから。
 そして、私にとっても椿ちゃんは“大切な友達”だ。
 「椿ちゃん、ありがとう」
 「いえいえ。絢花ちゃんのことを守れてよかったです」
 た、たくましい・・・。
 椿ちゃんと友達になれて、本当に良かったな。
 「じゃあ、ご飯食べに行きましょう!」
 「そうだね!」


【晶side】
 今日はみんなが待ちに待った校外学習。
 各々、寺や神社を回って歴史的なことについて学ぶのが一応の目的なんだけど・・・。
 「魁吏くんと晶くん、いた〜!」
 「ねえねえ私とどっかに遊びに行かない?お寺とか神社とか見てても正直つまんないし集合時間までに戻ればバレないでしょ!」
 「あっ、抜け駆けしないでよ!」
 案の定、というかなんというか僕達は女の子に囲まれていた。
 この子達は、寺や神社に見向きもせず一心不乱に僕達のことを探してたんだろうな。
 それに、校外学習ということもあって他のクラスの子も来るのが簡単になってるしいつもよりも女の子が多い気がする。
 僕でも、これだけの女の子の相手をするとなると少しだけしんどくなるし元々こういうのが嫌いな魁吏にとって、これは地獄に等しい。
 元から不機嫌そうな横の幼馴染の顔に、どんどん苛つき(いらつき)の色が表れてくるのを感じる。
 きっと、魁吏のイライラボルテージはとっくにMAXを突破しているな・・・。
 それでも、大声をあげたりしないのここが校内ではないからトラブルを起こすことを躊躇(ちゅうちょ)しているからだろうか。
 「お前ら、どけよ。邪魔だ」
 「「「キャーーー!!!」」」
 第三者が聞いても罵声にしか思えないそれは、女の子たちにとってはただのファンサービス。
 そうなるくらい、この子たちの耳と脳は僕達の容姿によって作り変えられてる。
 恋は盲目ってのかな。
 もはや、これが恋みたいに純粋なものなのかはわからないけど。
 一向に引こうとしない女の子に、魁吏は更にイラついている。
 さすがの僕も、この量は疲れるな・・・。
 今この瞬間も、近くに他に僕たちを探してる女の子がいるって考えただけで、自然とため息が出そうになる。
 感じ悪くなってしまうから心の中にしまい込むけど。
 人通りの少ない通りだから、他の観光客にあんまり迷惑をかけていないのが不幸中の幸いかな。
 「・・・・・・桃瀬?」