良かった、すんなり納得してくれたみたい。
 私も気持ちまでこんなに心配してくれる友だちがいるなんて、私も幸せものだなぁ。
 『あ、でも』
 「でも?」
 何かを思い出したように、里穂は短く呟いた。
 『死ぬ気で、シェアハウスのことは学校の女子たちに内緒にしなさいよ』
 「死ぬ気で?」
 そりゃ、隠そうとは思っているけど。
 混乱を招いちゃうだろうし。
 『この事が女子にバレたときには血祭りが始まるんだよ』
 「血祭り!?」
 血祭りって、あの血祭りだよね?
 血液の血にお祭りの祭りって書くあの血祭り。
 「里穂、いくらなんでもそれは大げさなんじゃ・・・」
 『大げさなんかじゃない!絢花は、その二人の人気を舐め過ぎなのよ』
 ええ・・・?
 私が舐めすぎてるのかな・・・?
 『去年の話なんだけどね。私も噂で聞いたくらいなんだけど』
 「どんな噂なの?」
 『去年の2年生の女子生徒で、真白晶に告白した子がいたそうなの。結局断られちゃったみたいなんだけど』
 「それが血祭りと何の関係が・・・?」
 現時点の里穂の話には血祭りと関係するような物騒な単語は出てきてないけど。
 『その告白現場を目撃した子がいたらしくて、すぐにその事が学校中に広まっちゃって。それからその子、いじめられたんだって。シカトされたり、酷いときは空き教室で暴力振るわれたり。それも男子に気づかれないように女子たちが一丸となって』
 「ひえっ・・・」
 『その子はいじめに耐えられなくなって転校したらしいから、今はその二人関係のいじめは起きてないみたいなんだけどね』
 告白したくらいでそんなことになるの・・・?
 女の子って怖い・・・。
 ・・・もし、同居の事がバレたら。
 『もしシェアハウスのことがバレたら、絢花も学校生活を無事に送れなくなるって考えたほうが良いよ』
 里穂もおんなじことを考えたみたいで、いつもよりちょっとだけ怖い声になってる。
 『わかった』
 「うん」
 スマホのこちら側でコクコク頷く。
 絶対にバレないようにしなきゃ。
 私の学校生活の安泰のためにも。
 『じゃ、そろそろ切るね。おやすみ』
 「おやすみなさい」
 その挨拶で、里穂との通話は終了した。
 里穂に忠告してもらえて本当に良かった。
 なんで、女の子ってこういうときだけは団結して弱いものを叩くんだ・・・。
 非常に嫌な習性だ。