目の前に迫りくる決断を前に、頭を抱えたそのとき。
 ピンポーン―――。
 「「「・・・・・・」」」
 またもや、インターホンが鳴らされた。
 こんな短時間で、二人目の来客だ。
 ・・・ものすごくいや~な予感がするのは、私だけ?
 嫌な予感の根拠はどこにもないんだけど、また新しい嵐が到来するような気がする・・・。
 それか、今度こそ晶くんの宅配か。
 うん、きっとそうだよね!
 この悪い予感は、きっと気のせいだ!
 さっきと同じように、晶くんが対応しに行ってくれる。
 ただ、今回は共有スペースの扉が開きっぱなしになっているから玄関の様子がすぐわかる。
 晶くんが玄関のドアを開ける前に、急かすようにもう一度インターホンが押される。
 最初鳴らしたときから、さほど時間は経っていないけど誰もマイク越しに応対しないから不安になったのかな?
 今からでも、何か言うべき?
 まあ、いっか。
 すぐに、晶くんがドアを開ける。
 するとそこに立っていたのは・・・。
 「おっじゃまっしま~っす!晶、久しぶり~!」
 「え、那々実ちゃん?」
 誰も予想していなかった人物、そして先ほどショッピングセンターで遭遇したばかりの那々実ちゃんだった。
 あまりにも予想外すぎて、晶くんも若干戸惑っている。
 那々実ちゃんはそんな晶くんの様子を気にも留めず、ずかずかと靴を脱いで家に上がろうとする。
 ・・・一体、どうしてここに・・・?
 「は?那々実?」
 魁吏くんも、様子を見るために玄関に行く。
 そこで、魁吏くんを見つけた那々実ちゃんはパァァッっとその大きな瞳を輝かせた。
 「あっ、魁吏!さっきぶり!」
 「なんで来たんだよ」
 「え~、久しぶりに幼馴染に会ったんだからもっと話したいって思うのは普通でしょ」
 それって、普通・・・なのかな?
 どこまでが世間一般の距離感なのか、その線引きが私にはよくわからない。
 私には、ずっと記憶に残っているような幼馴染も、よく遊んでいた幼馴染も、特にいないから。
 こんなことなら、小さいころから外で色んな子と遊んで普通の距離感を掴んでおくんだった・・・。
 「って・・・え?どうしてあなたがここに・・・」
 「えーっと・・・」
 シェアハウスの中に上がってきた那々実ちゃんと、ばっちり目が合う。
 私が抱いていた疑問を那々実ちゃんからぶつけられて、私はたじろいでしまった。
 魁吏くんと晶くんとシェアハウスしています!って胸を張って言うわけにもいかないし・・・。