ー國谷家ー

一方その頃、石川は國谷へ会いに行っていた

「こんにちは、國谷くん」
「……先生、何の用なの」
「…野外体験、行かなくてよかったの?」
「…いいよ。俺が行っちゃうと、柏木さんやみんなに迷惑かけちゃうし」
「……」

石川は、笑った。いつものように微笑んだ

「キミのこと、探してた子がいたよ」
「…」
「何か、大切なこと約束したんじゃない?」
「!」

石川は國谷の荷物を持ち、國谷へ押し付けるように渡す

「ほら、今からでも遅くないって。言うて現地まで3時間だし。夕方頃には着くでしょう」
「…」
「すごく寂しそうだったよ。柏木さん」
「………すぐに野外体験の現地まで車出して」
「かしこまりました」

國谷がそう執事に言うと、石川から押し付けられた荷物を受け取り、歩き出す

「先生、ありがとう」
「うん、楽しんでらっしゃい」