その声に聞き間違えるわけもない私は、顔を上げる


「えいちゃんっ」

「何してんの?」


「噂の幼なじみさんですか?」

「っ……なつっ…めくっ…」

「離しませんよ」

「お願いっ……」

振り返り、見つめる


暗くて見えない棗くんの表情が分からない


「離したら、実乃梨先輩、あの人のところ行っちゃうじゃないですか」

ぎゅむー、と言った風に抱きしめられる


「実乃梨、」

「ぅ………」

「なぁ、実乃梨離せよ」

「嫌です」


そ、即答……