「…先輩?」

「こ、こっち来ないでください…!」

帰り道、一歩横にずれた棗くんを両手で牽制する


「なんでですか?暗いの、苦手なんですよね?」

「っ……なんっ…………」

「僕を助けてくれた夜、すごく怯えていたじゃないですか」

「……忘れてください」


「忘れません」

ふと、視界の端にうつっていた姿が消えた


「っ…!?」

突然のことに不安になり、視線をさまよわせる

さっきまで緊張で心臓がバクバク鳴っていたおかげで忘れていた恐怖が顔を出す


「な、なつ……「なんですか?」」

「っ!?」

顔のすぐ横で声が聞こえて肩を揺らして足を止める


「わ…」

真後ろにいた“棗くん”が私にぶつかり、体重の軽い私が必然的に前に傾く