「むぅ……棗くんいじわっ……」

「違いますよ実乃梨先輩」

頬を膨らませた私の唇に人差し指が当てられる


突然の至近距離に目を見開く

「っ……」

「ね、先輩」


「いお、りくんっ…」

近い顔の距離に耐えられず絞り出すように名前を呼ぶ


それだけなのに顔が熱を持つのが分かった


敬語をとるのは慣れてもこれだけは慣れない


「ん、それ」

「……んっ…」

一瞬唇を掠めたそれ