「そういえば」


帰ろ、と言われ立ち上がると棗くんが顔をのぞき込んできた


「?」

「先輩、僕のこと名前で呼んでくださいよ」

「~!!」

「さっき読んでたじゃないですか」


何度も首を横に振ると、唇をとがらせ、そう言われた


「なぁっ…ぅ」


「明日から、楽しみにしてますね」

「ぅ……しなくていいですぅ…」

「ははっ…」


恥ずかしくて俯いていた私は棗くんの複雑な表情に気づけなかった