私の手を取った棗くんがそこに唇を押しつけてきた


「んっ…」

くすぐったくて声が漏れる


「かーわい」

息が手の甲にかかる


くす、ぐった……

 
「っ……なつめ、くっ……」



「伊織!さぼんなよ!」

ちょうど私の死角になるところから棗くんに声がかかった


「あーぁ、タイムアウト」

「なつ、めく…」

「先輩、帰り待っててくださいね」

優しく微笑んでから棗くんは小走りで去って行った