けれど、人生ではじめて誰かに抱きしめられているということ、そしてその相手が唯織だということのせいで、私の頭が正常に働いてくれるはずもなかった。


声を出すことすらできず、唯織の腕の中でじっとしていると。


「……翼羽」



少しだけ掠れた大好きな声に名前を呼ばれ、途端に心臓が早鐘を打つ。