唯織の目が見開かれた。 そして次の瞬間、私に向かって手を伸ばしてくる。 「え……」 ぐっと引き寄せられ、あっというまに視界が真っ暗になった。 あるのは、暖かさと……大好きな香りだけ。 抱きしめられていると気付いたのは、頭上から彼の吐息が聞こえてきたからだった。 漏れた呟きも包み込むように優しく抱きしめられる。 唯織の体温を感じながら、パニック状態の頭をなんとか回転させようとする。