声にした瞬間、惨めな思いが込み上げてきた。


彼は「翼羽……?」と呟いてあり得ないといったように目を伏せている。


「私と一緒にいるとき、いつもいつも宮川さんの話ばっかりするじゃない!いい加減、自分の気持ちに気付いてよ……!」


「自分の、気持ち……?」


「そうよ。宮川さんに彼氏ができたら嫌だって、いっちゃん思うでしょう……?」


彼は静かに目を閉じてなにかを考えていたあと、急に立ち上がった。


ソファーに座っている私に向かって口を開く。


「ありがとうございます、蘭さん。俺、翼羽のこと……」


決意の表情をする彼に片手をあげて、言葉を制した。


「言わなくてもいいの。……ほら、早くしないと宮川さん帰っちゃうよ」

「……はい!」