陸は私の頭を左手でガシャガシャと撫でた。
「もう、髪の毛折角セットしたのに……」
と言いつつ、そういうのも嬉しいのだ。
「茉由、お前は可愛い」
「……え?」
「自分が思ってるよりずっと、茉由は可愛いよ」
何で?何で今、陸はそれを言うの……?
私に対してどんな意味で、言ってるの?可愛い……なんて。
「もっと自分に、自信持っていいんじゃね?」
「……何それ。イケメン発言じゃん」
「はっ?なんだ、イケメン発言って」
と言いながら、陸はおかしそうに笑っていた。
「ちょっと、そんなに笑わなくてもいいじゃない……」
なんか私、恥ずかしいじゃない……!
一人だけ浮かれてるみたいで、ちょっとイヤだな……。
「茉由、お前って本当に……」
そう言いかけて陸は、言うのを辞めた。
「……陸?」
「いや、何でもない」
陸……今私に、なんて言おうとしたの?
どうしてそこで、言うのをやめたの?
「もうすぐ着くぞ」
「……あ、うん」
さっきの言葉が気になってしまって仕方のない私は、陸の顔を見れなかった。
「茉由、着いたぞ」
「ありがとう」
車を降りた私たちは、ビュッフェ会場に行くため、ホテル中に入った。
そしたらエレベーターに乗り、レストランがある七階まで上がっていった。