「陸、今日メガネ変えたんだ」

「メガネ?……ああ、うん」

「へぇ〜。それも似合ってるね」

 セルのフレームの陸は、初めて見た。とても似合ってるし、とてもカッコイイ。

「これはプライベート用だから」

「え、そうなの?」

「ああ。仕事用とプライベート用で、メガネ分けてるから」

 そうなんだ……。陸のこと、今日また一つ知れたな。

「見慣れないだろ?黒のメガネ」

「確かにね。……でも、私はこっちのメガネの方が好きかな」

「……ん?何か言ったか?」

 陸から横目でそう聞かれたけど、私は「ううん、何でもないよ」と答えた。

「そうか。……所で茉由」

「ん?何?」

 陸に視線を向けると、陸は不思議そうに私にこう問いかけた。

「茉由の今日の服……可愛いよな」

「えっ!?」
 
 陸が言ったその言葉に、私は思わず目を見開いて陸を見た。

「……何だよ?」

「う、ううん!……ありがとう、嬉しい」

 この服、一生懸命選んで良かった。……本当に嬉しい。

「……別に」

 陸に可愛いって言ってもらえて良かったと思ったのと、素直に胸の奥がキュンとしてしまった。
 私はそんなに、陸のことが好きなんだな……。