「両片思い……。悪くはなかったね」

「そうだな。……まあちょっと、遠回りしちゃったけどな」  

「うん、そうだね」

 私たちは軽く微笑み合い、お互いの手をギュッと握りしめる。
 その手の温もりは温かくて、優しくて……。

「茉由、俺と結婚を前提に付き合ってくれる?」

「……結婚を、前提に?」

「ああ。 俺はずっとこれからも、茉由と一緒にいたいから」

 キュンッ……。
 その言葉を聞いて私は、胸がキュッと高鳴るのを感じた。

「……私も、ずっと一緒にいたいよ陸と」

「当たり前だろ?……もう離す訳ないだろ。ようやく捕まえたんだから」

「んんっ……」 

 その言葉の後、陸はもう一度、今度は少し強めにキスをしてきたのだった。  

「……捕まえた、茉由。もう離さないからな」

「うん……。離さないで、絶対に」
  
 もし陸がその手を離したとしても、私は絶対に離したりはしない。
 ……私だってようやく、陸のこと捕まえたんだから。離す訳、ないでしょ。

「当たり前だから、そんなの」

「きゃっ……!?」

 そう言って私をギュッと抱き寄せた陸は、私の耳元で「これからは、俺しか見えないようにしてやる」と言って、ニヤリと怪しく笑った。

「……もう、陸の意地悪」

「それはお前だけ、なんだよ」

 そう。私にとって陸は、特別な存在。
 大好きで大好きで、仕方のない人ーーー。



【完結】