私がそんな姿を見せたからか,礼夢くんは少し弱々しい,普段見せないような姿をさらす。
さながら,捨てられそうな子犬。
きゅっと胸が締め付けられる思いがした。
澪じゃなきゃダメな理由。
逆に礼夢くんじゃダメな理由。
私だって,何度も考えた。
でも考えれば考えるほど,礼夢くんを否定する言葉が私には見つからなくて。
今までのどれを思い出しても,良い思いでしかなくて。
余計に混乱した。
だけど
「ごめん。俺ちょーめんどいこといっ…」
「私,やっぱり礼夢くんの事好きなんだよ」
私の放った言葉に,礼夢くんは目を丸くする。
ちゃんと答えるから,そんな風に笑って誤魔化してくれなくてもいいよ。